楓と蒼
えりいく攻略 メイプル攻略 レベルアップ方法と氷魔育成を載せております。 日々の日記もありますので、どうぞよろしくお願いしますb
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
SPY(仮)二話
───『組織内部』


?「ったく、だから新人との仕事は断りたかったんだよ。
わかるか?ミスも無いのに突然警報が鳴り響いた時の俺の気持ちが?
……聞いてるのかマーヤ」

そうやって椅子に座り、サンドイッチを手に掴みながら愚痴をこぼす少年。
背は160程度だろうか。かなり小柄で小さく見え、顔も中性的なのも相まって
一見では女に見えなくもない。

しかし何より目を引くのはその髪だろう。
銀髪と呼ばれる白色をしており、外国人にも見えるが、れっきとした日本人である。

マーヤ「聞いてますよ。でもその愚痴は私ではなく新人に言ったらどうですか?」

?「だりぃ」

一言で切り捨てる。
そもそも文句をわざわざ言うまでも無いのだ。

?「それに一応危険手当が出たしな。わざわざ言いに行くまでもねぇよ」

警報が鳴って危険と認定されたのか、それとも新人の尻拭いか知らないが
結構多めに金をもらったのだ。それを考えると、別に言わなくても良いと判断したのだ。

そもそも、警報が鳴って危険ではなく、面倒と判断しただけなのだから
むしろお得と考えていた。

マーヤ「なら何故私に言うんですか?」

?「ただの愚痴」

マーヤ「最低ですね……」

そう言って肩を落とすのは、車を運転していた赤毛の女性だ。

マーヤ「そんな最低な貴方に新しい任務ですよ」

?「もうかよ。うわぁ……だりぃ」

溜息を吐いて机にうつ伏せる少年。
冗談ではなく、心からだりぃと思っているからこその行動である事が
マーヤの心労を積み重ねていく。

マーヤ「はぁ、これが組織のトップエージェント『ヴァイスロット』だと思うと……」

?「感動して声も出ないか?
っつか『ヴァイスロット』はやめろ。呼ぶなら名前って言ってるだろ痴呆かお前」

マーヤ「誰が痴呆ですか!?……相変わらず口が悪いですね『紅(こう)』」

紅「誰が名前で呼んで良いって言ったこのビッチが」

マーヤ「貴方ですよ!たった今!」

紅「御馳走さん。んじゃ俺は任務を確認するために上司様に会ってくるから」

そう言って、タマゴサンドを食べ終わると、伝票を持って席を立つ。
この組織内には食堂があり、二人が話していたのはその場所だ。
ちなみに働いている人は全員組織内の人間なので、秘密などは漏れる秘密は無い。

もっとも、このような場所でそんな会話をするような奴はいないが

マーヤ「あ……伝票……。
まったく、こういうところが」

そう言って顔を綻ばせるマーヤ。

紅「あ、店員さんですか?この伝票なんだけど清算しておいてくれますか?
お金はあのお姉さんが払ってくれるみたいなので。そう、あそこにいる赤毛の女性です。ええ、お願いします」

いつもとはまったく違う口調で、あたかも子供のような口調。
しかし、背と顔の所為でまったく違和感を感じさせない。
その所為か、店員もすっかり信じてしまう。

そしてニヤリと、店員には見えない所で笑うとマーヤへと

紅「払うわけねーだろ」

と、小声で言う。
小さな声でありながら、それはマーヤの耳へと届いた。

マーヤ「……最低最悪ですよね」
スポンサーサイト
小説テスト
───6月7日現在

空は漆黒。夜と言う名の、黒いカーテンが下りており
人々を照らす月の灯火も、厚い雲に覆われ、その光が落ちることは無い。
そんな、暗黒の世界の下に、一つの巨大な建物があった。

その建物の、一つの部屋から何かを軽く叩くような音が僅かに聞こえていた。

?「やっと見つけたぜ。ったく、面倒なパス付けやがって」

部屋の中で何か機械を操作している影が見える。
しかし、部屋には明かりはついて居なく、闇の世界で影が見えるのは
外から僅かに漏れる小さな光で、ようやくそれが人らしき影だとわかる程度だった。

だが、部屋の中は、何も見えないほどの闇が覆っており
手元の機械すらも見えないほどの暗さにも関わらず
その影は淀みなく機械を操作していた。

?「……コピー完了っと」

そう言って、機械から何かを引き抜く。
手に持てば見えなくなるほどの、小さい物だった。

?「これで任務は達成か。楽な仕事だった」

そう呟こうとした瞬間天井のランプが赤く点滅しだし
同時に、耳をふさぎたくなるほどの大音量でサイレンが鳴り出した。

その事に、一瞬体を硬直させる。

?「な、くそ!あのバカがミスりやがったな!あのカス!」

当然、彼のミスではない。
機械を操作する際に全ての警報装置は切ってあり、操作自体も権限者のパスで
操作自体にもミスは無い。

となると彼の頭に浮かぶのは、まだ新人だった今日来ており、別の方で仕事をしている
もう一人の顔だった。

?「だから新人と仕事は嫌だっつたんだよ!」

愚痴を軽くこぼす。
だが、先程から怒鳴るような口調でありながらも、その声は耳元でなければ聞こえないほど
小さい声なのが、見た者がいれば違和感に感じただろう。

急いでポケットへと先程の小さな物体を仕舞うと、部屋から直ぐに出て行こうとする

が、ピタリと足を止めるとすぐさま物陰に隠れる。
そのまま、息を殺して数秒待つ。

しばらく時間が経ち、何起きないと錯覚しそうになる時にそれは起きた。

警備員「おい!誰かいるか!?」

自動ドアが開き、姿を現わしたのはこの施設の警備員だ。
手にしているのはサブマシンガン。MP-5と呼ばれる銃だ。
その異常な銃が、真っ当な施設と警備員ではない事を知らしめていた。

警備員「暗いな……誰も居ないようだが…。
念のために調べておくか」

そう言って明かりをつけようとする。
しかし一人で来たのは好都合だった。
懐から普通のより少し大きいナイフを取り出す。
そして、僅かに身を乗り出し警備員の姿が見えると

警備員「ッウ!!ガハ……」

音も無く、ナイフの刀身が高速で飛来する。
それは警備員の喉元へと突き刺さった。
暗い部屋で、まだ明かりがついていない所為が油断を招いたのか
まるで吸い込まれるかのように鮮やかに、喉へと突き刺さっていた。

そのまま、闇の中へと消えるように床へと倒れこむ。
流れ出る血は暗い部屋の中ではまったく目立たなかったのは好都合だった。

?「警備と巡回は二人以上の行動が基本って知らねぇのか?
おっと、ナイフ回収っと」

その声にこたえる者は居ないが、彼は皮肉のようにそう言った。
手に持つナイフの柄から伸びるワイヤーを手繰り寄せ、刀身を引き寄せる。
僅かな抵抗の後、グチュっと音を立てて警備員の喉から引き抜けると、手元へ戻ってくる。

?「回収完了。さて、ヘマしたバカは放っておいてさっさと逃げるか」

そう言ってナイフを軽く振って血を飛ばすと懐へと戻す。

彼が使ったのはスペツナズ・ナイフと呼ばれる物だ。
本来はスプリングが仕込まれており、それを使って刀身を飛ばす殺傷武器なのだが
彼のは少し改造されていた。
ただし、正規の改造ではないのだが。

扉の近くへと移動し、廊下を確認する。

?「人影は、無し。気配も無いな」

誰もいない事を確認すると廊下へと飛び出し全力で走った。
警備員が持っていたMP-5には目もくれない。
それはこの場で持って言っても邪魔になるからである。

内部を熟知している彼は、全力で最短距離を、それでいて音を最小限にして目的の場所へと急ぐ。
途中で警備員には会わなかったのは、警報を鳴った原因の場所へと向かっているのか、それとも運が良かったのだろうか。
ただ、運が良かったのは彼の方なのか、命を落とさず済んだ警備員だったのかは謎だが。

そうして、裏口を閉じる鉄の扉を開ける。
ギギギと重い音を立てながら、しかし直ぐに出る愚は犯さない。
一秒、二秒待ち、外にも何もない事を確認すると外へ出る。

懐かしい土の地面の感触に浸る間もなく速度を上げる。
やがて、外界と施設を隔てる巨大なフェンスが見えてくる。
高さは十数メートルはあり、上には有刺鉄線が巻いてある。

一見簡単そうに見えるが、有刺鉄線の部分には赤外線の警報装置が付いている。
が、そんな事は関係ないと言わんばかりに更に大地を蹴る脚を強め
フェンスの目の前まで来ると

?「っはぁ!」

気合いと共にフェンスを蹴り飛ばす。
当然、そんな物でフェンスが崩れるはずもないと、普通は思うだろう。

しかし、予想を裏切るようにガシャンと、フェンスの一部が倒れる。
蹴った部分から半円状に、まるで抜け道の如くフェンスが繰り抜かれていた。

そこを潜り抜け、更に奥へと走ると
闇に溶け込むような黒い車が止まっていた。

彼はその車へと近づくと、助手席のドアをあけ乱暴に中へと入り込む。
運転席には妙齢の赤毛をした女性が座っており、彼が中に入ると

女性「出します!」

一言言うと、辺りにエンジン音が轟く。
同時にタイヤが悲鳴を上げるような音を響かせると同時に
物凄い速度で黒い車はその場を後にした。




続く?





……ね、ネタが無いからとりあえず載せとけばいいやって思ったわけじゃ(ry
命ノ砂

命ノ砂




期限は夏休み

告げられたのはあまりに短い時間

ほんの一月かそこら

それが僕に残された最後の時間だった


『後天性心拍遅速病』


それが、今の僕表す病気。

通称「サイレントベル」

その奇病によって、僕の時間は蜻蛉(カゲロウ)のように短くなり

そして、彼女との生活は密度を増していった。

それはとてもとても悲しい事だったけれど

表面上は何気ないように振る舞った。

いつもの日常を壊したくは無かったから。

あの楽しく、充実していた日々を、決して…変えたりしない。

例え、その日常に僕が居なかったとしても

その時まで、みんなと笑って過ごして

そして


『笑って、いつものように別れよう』


それが、僕が決めたルールだった。

日差しは強く

向日葵は鮮やかに

風は優しく包み

笑い声が空に吸い込まれる

そうして、僕の夏は始まりを告げた。






窓の外から聴こえる雀の鳴き声を目覚ましに僕は目を覚ました。
窓から入り込む朝の日差しが眩しく僕と部屋を照らす。
あまりの眩しさについ手を上げて簡易的な日陰を作ってしまう。
けれども、その日差しが、今はとても暖かった。


1日目


「んー、今日もいい天気だなぁ」

ベッドから体を起こし、ぐっとほぐす。

「さてと、今日で制服を着るのも最後か…」

今日は終業式。明日からは夏休みだ。
終業式は午前で終わり、午後は美鈴(みすず)達と約束がある。
約束と言っても、ただ遊ぶだけなのだが。
そんな事を思いながら制服に袖を通す。
そして階段を下り、作り置きしておいた朝ご飯を食べる。

「ご馳走様。それじゃ学校に行ってきまーす」

食べ終わると同時に言うが早いか、僕は走って家を飛び出した。
今日を前以上に精一杯生き、目に、体に焼き付ける為に……

「お、来た来た。おーい!」

学校へとつながる長い坂。
その手前に大きく手を振り、ぴょんぴょんと跳ねる少女の姿があった。

「おはよう、美鈴
今日も元気だね」

「へへん。だって今日で学校も終わりだからね!
さっそく今日から遊びまくるわよ~」

「遊ぶのは良いけどさ
あんまりゆっくりしてると遅刻するかもしれないよ」

そういうとふぅっとため息を吐く美鈴。

「アンタの遅刻っていうのはベルから10分前の事でしょ
本当真面目なんだから…」

やれやれと肩をすくめる。

「そんなつもりは無いんだけどなぁ。
普通のことを普通にしてるだけだよ」

「それが真面目って言ってるの。
5分前行動どころか10分前行動。
自主的に掃除ボランティア。
教材も忘れないし
宿題も忘れないってどういうことよ」

「それは美鈴が忘れすぎるんだと思うんだけど…」

基本的に直前に気づいて僕のを写すのが美鈴の宿題だ。

「まぁまぁ
そんな重労働からも解放されるんだから
もっとパァっといこうじゃない」

そう言ってサムズアップをした手を突きつける。

「パァっとってどうやって?」

「とりあえず何も考えずに遊べばいいんじゃない?
さっそく今日から実行よ」

「何も考えずに…か
どうやれば出来るの?」

「アンタね…
そうやって考えてる時点でだめじゃない」

ポクポクと軽く頭を叩かれる

「むぅ…」

「あれ、そういえばあのバカは?」

「バカ?…ああ、もしかして社(やしろ)の事かな?」

社と言うのは、昔からの友達だ。
美鈴と同じくらいに出会って、今ではすっかり腐れ縁になっている。

「今日はまだ見てないよ」

「って事はまた遅刻ね。
どうせまた二度寝だろうし、仕方ない
起こしに行くわよ」

「美鈴。だから時間が…」

「この時間なら余裕よ
通学路の途中だしさっさと起こせば問題無し」

そう言って僕の手を掴むと僕を引きずるように坂を上っていく。

「社ー!こら起きなさい!」

「美鈴、インターホンを連打するのはよくないよ」

「こらー!聞こえてるんでしょ!

とっとと起きろ~!」
聞こえてないようだ。
社の家に着くなりこの行動に出る美鈴。
美鈴は親のかたきのように凄い勢いでインターホンを連打し続ける。
が、それでも出て来ない。

「居ないのかな
…って何してるの美鈴」

「出て来ないなら中に入るしか無いでしょ」

美鈴は玄関まで行くと鍵を取り出しカチャリと開けた。

「何で鍵持ってるの!?」

「さぁ、突入よ!」

僕の質問に答えず
美鈴は家の中へと上がり込んだ。
社の家は広い一戸建てだ。
この時間は親は居ない
だからこそ美鈴はこんなにも自由にしているのだけど
後を追いかけ階段を上ると、社とかかれたドアプレートの前に美鈴の姿があった。

「入るわよ~」

と、言いながらノックもせずドアを開ける
と、そこで中に入らず僕の方を向く

「何してるの?早く入るわよ」

「いや、流石に勝手に入るのは…」

「アンタも来るの!早く!」

そう言って僕の手を掴むと部屋の中へと引きずり込んだ。
部屋の中は簡素だった。
ベットと机しかなく、窓からは無地のカーテンがひらひらと風で舞い踊っている。
そのベットに、毛布に籠もるようにして眠っている社がいた。
それを見ると美鈴はつかつかとベットに近づいき、毛布を掴むとガバッと剥ぎとる。

「…寒い」

そう言って、僅かに目をあける社。

「こら社!早く起きなさいよ!」

「眠いんだよ…もっと寝かせてくれ」

「今何時だと思ってるの。
もうすぐ学校始まっちゃうじゃない」

「学校行きたくない。寝る」

そう言うと、再び寝ようとする。

「社。その…起きてくれないかな?」

小さな声で言う。
その声を聞くとチラリと目をあけ僕の方を見る。

「…わかった。起きる」
そして社はむくりと、上半身を起こした

「ふぁ…寝みぃ」

一度欠伸をして、眠そうに目をこする。
その瞬間、思わず息を呑み
次に慌てて言った

「や、ややや社!ふ、服!服!」

寝起きの社の服は水玉模様のパジャマだ。
だが、寝相のせいか上の服がはだけて下着が見えている。
言われて、それに気づいた社。

「あ……。まぁいいか」

「良くない!ぼ、僕は外に出てるから早く着替えて!」

社。非常に力強く、性格も荒っぽいく男らしいが、女の子である。
腰まである長い黒髪に可愛いと言うより格好いい顔立ち。
それが社だ。
しかし、女としての自覚は薄く、今のように下着を見られてもまったく気にしない。

「?何で外に出るんだ。すぐ着替え終わるから待ってろ」

「それこそ駄目だって!」

「何故」

「社は女の子でしょ!美鈴、外に出てるからお願いね!」

「あ、おい…」

そう言って僕は顔を赤らめらめながら部屋を出た。
「まったく…社はもう少し女の子として自覚して欲しいな」

社は並みの男より男らしい
だが、だからといって男として扱うわけにもいかない。
問題なのは社自体が女と思ってないことだ。
今のように下着を見られても恥ずかしがったりしない。

「ちゃんと言わなきゃ。社は女の子だって」

何度も同じ事を繰り返してもらっては困る。
もっとも、他の男なら『もっとやれ』などと言うだろうが。
と、そこでガチャリと音がして扉が開く。

「着替え終わったわよ」

「ありがとう美鈴。社は?」

「ここだ」

美鈴の後ろから姿を現す。

「中で手伝ってくれればいいのに、何で外に出るんだ」

「手伝っ…!もう!社!」

「何を怒ってるんだ。何か悪いこと言ったか?」

「そうじゃなくて!」

「はいはいそこまで!」

社に注意しようとした瞬間美鈴が割り込む。

「ここで言い争わないの。時間もないし続きは学校でやりなさい」

「時間ってうわ!もうこんな時間」

「俺はいつもより早い時間だが」

「社はもっと早く出ようよ!ほら、行くよ!」

そういって三人は家をでると学校へ向かって走りだした。

「走るのだるい」

「……社」
学校に着いたのは始業ベルから三分前だった。

「ぎりぎりだね」

社は最初走りたくないと言った時はどうしようかと思ったが遅刻しちゃうからと頼みこんだらなんとか走ってくれた。

「まったく。俺を置いていけばよかったのに」

「そんなわけいかないよ。社1人置いていくなんて出来ない。だって」

「………だって?」

「僕達友達だしね」

「……………バカ」

スタスタと社は学校へ早歩きで進みだす。

「あ!ちょ、ちょっと社!待ってよー
何か悪い事言ったかな…」

「微妙ね」

「美鈴、微妙ってどういう事?」

「友達って言うのがよ。嬉しいような悲しいようなってね」

「友達って言うのが悲しい?
もしかして、僕嫌われてる?」

「アンタねぇ…何で社がアンタの言うことだけ素直に聞くと思ってるの」

「うーん。友達だから?」

「アタシの言うことも偶にしか聞かないわよ」

「じゃあなんなのかな」

「やれやれ、鈍いわね…
まあ、アタシから言うのも何だし直接聞いてみたらどう」

面白くなりそうだしと美鈴は付け足す。
僕はハテナを浮かべながら後で聞いてみようかなと思い、社の後を追い教室へと向かった。

「ねぇ社」

「ん、何だ」

烏龍茶を飲みながら顔をこっちに向ける。
昼休みになり、僕は社にさっそく聞いて見ることにした。

「社は僕の事嫌い?」

「ちょ!ッゴホッゴホ」

飲んでいた烏龍茶を吹こうとしたが必死に抑えこんだせいで激しく咳き込む社。
慌てて社の背中をさする。

「だ、大丈夫!?」

「い、いきなりどうした。
何か悪いものでも食べたか?医者行くか?」

「だ、大丈夫だよ。
変なものは何も食べてないし
医者もいらないよ」

心配するはずが逆に心配されている。

「ならどうした。
いきなり驚天動地なことを言うなんて
それともまさか俺が嫌われるような事したか!」

凄い慌てふためく社。
肩を掴んですまない、すまないと謝る。
普段は冷静な社がここまで取り乱すとは思っていなかったので
かなり驚く。

「ち、違う!違う!
社の事は嫌ってないし
むしろ好きだよ!」

「好ーーーー!」

ボン
と、音が聞こえる程真っ赤になる社。
顔が赤いよ!うわ熱がある!と大混乱する少年の2人。
その様子を人知れず陰から覗いている人物がいた。
「ふっふっふ
計画通り!」

と、黒い表情を浮かべるのはお察しの通り美鈴である。

「しかし予想以上の反応ね。
甘酸っぱい青春の夏。
これこそ健全な学生の姿よね」

うんうんと1人で頷く。
実は
恐らく読者の誰もが想像も出来なかったであろうが
なんと社は彼の事が好きなのだ!男女的な意味で
それを知った美鈴は面白…社の事を思い手伝うことにしたのだ。内密に

「フェイズ1は終了。
さあ、次の準備をしなくちゃね」

そういって美鈴はコソコソみつからないようにしてその場を後にした。

しかし、彼女は気づいていないが
もう一人、2人の様子を陰から見る者がいた。

「………………」

じっと2人の様子を見続ける影。それは彫像の様にピクリともしない。
と、思ったが良く見るとほんの僅かだが動いていた。
2人を見ている最中に何度か、わからない程度に反応していた。

「ちょっと…頭冷やしてくる」

疲れきった様子で水飲み場へと向かう社。
あまりに弱々しい様子に彼は付いていこうとしていたが社は手を降って断る。
彼は心配な目で社を見つめるが断られた手前無理を通すこともできず、ポツンとそこで待つしか出来なかった。

「………………」

コクリと頷く影。
それは自分への元気づけだった。
影は飛び出し、彼の元へと向かった。
「社大丈夫かな…
顔赤かったし熱もあったし、風邪かなぁ」

普段から健康な社が風邪とは珍しいなと思い
社が戻ったら保健室にでも連れて行こうかと思案していると

「ん…?」

ふと、向こうから走ってくる人影が見える。
社かなと最初に思ったがそれにしては小柄だ。
よく見ると女の子で、走るにしてもトテトテという擬音があうぐらい可愛らしい走り方だ。
やがて、僕の前までたどり着くと正面でピタリと止まる。

「…………………」

「? 何か僕に用かな?」

何か用事があって僕の所に来たと思ったのだが彼女は無言で立ち尽くす。

「と、言うよりどこから来たの?」

彼女、というにはいささか小さい女の子だった。
制服ではなく白いドレスのような服を纏っていて
背丈は小さい僕でも更に頭一つ分ぐらい小さい。
少なくともこの学校の生徒では無いだろうと判断しそう質問する。
だが、女の子は無言だった。

「ええと、勝手に学校に入っちゃ駄目だよ」

そう注意する。

「……………」

クン、と服を引っ張られる。
僕の左腕をちょこんと摘んでクイクイと引っ張る。
その目は何かを訴えるようだった。
「どうしたの?」

「…………」

制服を引っ張る女の子の考えがわからず途方に暮れる。

「困ったなぁ…」

ポスっと女の子の頭に手を置いて優しく撫でる。

「!!!」

「何か僕に用事なのかな?
それとも迷子?人捜し?」

撫でながら優しく語りかけるように話す。

「~~~~~!」

「あ、ごめん。嫌だった?」

体を震わせる女の子。
いきなり撫でるのは失敗だったかと申し訳なくなり手を離そうとするが

「!」

首を横にブンブンと降る。
そしてじっと待つ。
その姿が子犬のようでとても可愛かったのでついまた頭を撫でる。

「…………♪」

顔を赤くしてぼぅっとする女の子。
この子も風邪?流行ってるのかなぁと思いながら撫で続ける。
やがてふらふらと体が揺らぎ、危ないかなと思った瞬間
ぐらりと後ろに倒れそうになる

「危ない!」

「…………っ!」

手を伸ばして女の子の体を引き寄せる。
ドサッと体に軽い衝撃が来ると同時に胸元に重さを感じる。

「大丈夫?危なかったね」

怖かったのか放心状態の女の子。
胸元に引き寄せる形になってしまったがそんな子を引き離す事も出来ない。
すると胸元をぐっと掴む小さな手があった。

「ん?」

ふと胸元を見ると女の子が服を掴んでいた。
ぎゅっと両手で掴み女の子は更に体を密着させる。
この位置からでは顔が見えないのでどうするかと困るが
とりあえず頭を撫でる事にした。
サラサラした黒髪は滑らかで気持ち良く、また女の子の雰囲気なのかついつい撫でたくなってしまうのだ。

「おい!!!」

ビクッと女の子と僕が突然の大声にダブルで驚く。
見ると社が先ほどよりも赤い顔でこちらを睨んでいる。
まずい、なんだかわからないが凄く怒っている。

「や、社。どうしたの?
そんな大声だして」

社はツカツカと歩み寄り、僕の目の前に来ると女の子を指差して先ほどより大声で叫んだ。


「お前に子供が居るなんて聞いてないぞ!!!!」


「…………」

一瞬、空気が止まった気がした。
というかどうやったらそんな発想が出るのだろう。

「社。まずは落ち着いて」

「おおおお俺は冷静だぜい!?」

「いや本当落ち着いた方がいいよ社
口調も変わってるし」

それからゆっくりなだめることで五分で社は沈静化した。

「すまない。よく年を考えればわかることだったな
だが一つ言わせてくれ」

「何?」

「まずはその手を離そうか」

ドスの利いた声で死刑宣告のように告げる社。
その威圧感に気圧され、女の子の頭に置いていた手を離す。

「そっちじゃない!
いや、そっちもだが…
そこの女だ。胸から手を離せ」

そう言われて女の子は手を離す。
が、更に体を寄せてくっついてくる。
ブチリと社の方から危険な音が鳴ったような気がする。

「…で、そいつはどこの馬の骨だ」

ラスボスのBGMがあいそうな雰囲気で社は口を開きそう聞いた。
全然落ち着いてないよと心で思いながら答える。

「えっと、この子は……」

そこまで言って気づく。
そういえばこの子の事は何も知らない事に。

「そういえば僕にもわからないや…」

「わからないだと?
お前はわからないヤツをむむむ、胸元に引き寄せて抱くのか!」

「い、いや子供だし
それにやむを得ない事情があって」

「ハロー。エブリワン」

修羅場とも言えるこの場所に明るくKYな声が響く。

「美鈴!」

その姿を見た瞬間安堵する。
タイミング良く来てくれたなぁと感謝する僕

「重要な情報を持って来たわよ」

「重要な情報?」

「おい美鈴。今はそれどころじゃ」

「まぁまぁ黙って聞く。
その女の子同級生よ」

ピシリと空気が凍る。
全員がその言葉を理解するのにフリーズしている中

「まぁつまりアンタが胸に抱いてイチャイチャしてる女の子が何の問題もない同級生ってことよ」

ギシリと、空気が歪む。
天の助けだと思っていた少女は実は悪魔の化身だった。
良いタイミングが最悪なタイミングと変わる。
ブルブルと俯き体を震わせる社。
手は握り締められなんだか殺意の波動を纏っている。

「おい」

地獄の底から響くような低い声を出し僕の方を見る
怖いと、素直に思った。

「は、はい!」

「その女……
彼女なのか?」

「違います!」

そう言った瞬間狙いすましたように離れていた女の子の手が僕の腰に回る。
まるで抱き締めるように。

ぎゅっと女の子が僕を抱き締めた瞬間
社の雰囲気が変わる。
まるで刺すように鋭く、黒いオーラが消え優しく微笑む。

「そうだ。そいつ
(自主規制)しよう」

「笑顔でそんな怖い事言わないでよ!」

「いい感じに修羅場ってるわねー
ドロドロした三角関係かしらね」

「誰のせいだと思ってるんだよ美鈴…
それに三角関係ってのは恋人とか好きな人の関係の事だから間違ってるよ」

「…超ド級のニブチンね」

「何の事かわからないけど、何とかしてよ…」

ニコニコと薄ら笑いを浮かべながらも目が危険な社。
力を込め、社の言葉が分かっているのか分かってないのか僕から離れようとしない女の子。
そして何で社がそこまで怒っているのかわからずひたすらおたおたする僕。

「仕方ないわね」

と、美鈴が僕に近づき耳元で囁く。

「…の…を……なさい」

「え?そんなことして大丈夫?
逆に社が怒りそうだけど」

「大丈夫大丈夫。アタシを信じなさい」

「う、うん」

やや不安になりながらも美鈴の言う通りに実行する事にした。

「ごめん。少し退いてくれないかな?」

女の子にそういうと少し悩む様子を見せるが、名残惜しそうに手を解き僕から離れた。

そして社の方を向く。

「な、なんだよ」

「社。ちょっと」

ちょいちょいっと手招きして頭を屈めるように伝える。
内緒話をするように社が頭を下げた瞬間

「なでなで」

「――――な!?」

優しく社の頭を撫でる。
美鈴が言ったのは社の頭を撫でろっと言うものだった。
半信半疑ながら従ったが社の顔は夕陽もかくやと言う程に赤くなっていく。
うわぁ、社怒ってるよとビクビクしていたが
大声を出す、でもなく手を振り払う、でもなく社は何もしなかった。
僕はそのまま撫で続ける
と次の瞬間

「えいっ!」

「わ!」

急に社が両手を広げるとそのままトラバサミのように僕をきつく抱き締める。

「んふふー♪」

「や、社…ちょ…ま…」

見たこともないような笑顔を浮かべる社。
普段の男勝りの顔では無く、年頃の女の子のような可愛い笑顔だ。
しかし、それを悠長に見ることはできなかった。
社の抱き締める力が強く体がグイグイと締め付けられているのだ。

「や…し…離……」

「ちょ、ちょっと社!
アンタそろそろ離さないと危ないわよ!」

が、社は満面の笑みを浮かべるだけで離さないとはしなかった。
意識が飛びそうになった時、流石にマズいと思ったのか

「社!いい加減にしなさい!」

バシッと社の頭を強く叩く美鈴。
良い音が響くと社の力が緩み、僕はその場に崩れ落ちるように膝をついた。

「はぁ…はぁ…
ありがとう、美鈴…」

だらしなく息を切らす僕。
社はどうなったのかと気になり顔を上げる。
社が我を取り戻したのとちょうど同時だった。
視線が交錯する。

「……………」

ばつの悪そうな顔をして目を逸らす。
なんとなく僕も視線を外してしまう。
社の後ろではやりすぎたと珍しく反省しているのか視線をさまよわせる美鈴。
僕の後ろには変わらぬ顔で待機する女の子。
…この空気、どうしよう。

「…………す、すま」

「?」

社が口を開く。
次の言葉を聞くべく注意と視線を向けると

「すまなかった!」

と、頭を下げる社。
僕は驚く。
社が頭を下げるのなんて初めてみた気がするからだ。

その後、謝り続ける社をなだめて事態は収集した。
と、狙いすましたように授業開始の鐘が鳴り響く。
僕と美鈴は教室に帰り
社は隣のクラスに戻っていった。
女の子はいつの間にか居なくなっていた。
そして先生が入ってきて、軽く夏休みの注意事項を告げると終了。
これで今期の学校も終わりでだ。

「もう学校も終わりかぁ」

「今日はこれで終わりね
さっそく遊びにいくわよ」

「あー…その事なんだけど
ごめん美鈴。
今日は無理なんだ」

「ええ!なんでよ!」

頬を膨らませ不満を露わにする美鈴。
手を合わせて頭を下げる。

「今日はちょっと調子が悪くて…」

「………仕方ないわね。
でも明日は絶対遊ぶわよ!」

「うん」

笑顔で頷く僕。
その後すぐに社が現れ一緒に三人で帰る。
帰り道の関係上、社、美鈴、僕の順番で家が近いのだが
社も美鈴もわざわざ僕の家の前まで来てくれる。
理由を聞いたら一人じゃつまらないから、とかアンタ一人じゃ寂しいでしょとか偶然用事がなど色々言われたが真偽は未だにわからない。
やがて、僕の家に着く。

「それじゃ社、美鈴。
また明日」

「明日はちゃんと遊ぶんだからね!」

「じゃあな。また明日」
手を振ってそのまま家に入る。
玄関に入って扉を閉めた瞬間張ってた緊張が解け
背中を扉に預け体が沈むようにその場に座りこんでしまう。

「―――――!」

心臓が痛む。
体が冷え切っているように冷たい。
気持ちが悪くなり、吐きそうになる。
ゆっくりと立ち上がり幽鬼のような足取りで洗面台へ向かう。

「ごほっ!…っう」

吐く。
しかし、出てきたのは胃液混じりの黄色ではなく
血が混じった赤色だった。
吐血は珍しいことじゃないなと思いながら更に二三度血を吐く。
洗面台が赤に染まっていく。
顔を上げて鏡をみるとそこには酷い顔をした男が映っていた。

「酷い…顔だな。
社や美鈴には、見せれないや」

当然の如く、それは自分の顔だ。
蛇口を開いて血を流す。
水で口を濯ぎ残った血を吐き出す。
ひとしきり吐くと少し楽になる。

「ぐぅ!ああぁぁ!」

だが、嘲笑うように心臓が再び痛み出す。
呼吸すら出来ない痛みに声ならぬ声を無様にあげる。
数分して収まると、急いで棚を開けて薬を取り出す。
水と一緒に飲み干すと僕はベッドへ向かう。
そして制服のまま僕は痛みから逃げるように眠りへついた。



――――1日目 終了
Lie&Truth
Prologue...

僕は嘘が嫌いだ。
『ほら、新しいお父さんよ。挨拶しなさい』
『君かい?お母さんに似て可愛い子だね』
うそだよ、そんなことおもってないくせに
ぼくにはわかってるんだ。
『お前あの○○の息子だって?凄い金持ちなんだってな』
『いや、財産なんて関係ないよ。俺達友達だもんな』
嘘だ、紅いんだ……来ないで……来ないで……
『お母さんがこの度不幸な事で……悲しいわねぇ』
嘘付くな…悲しんでなんていないのに……
どうして、そう嘘をつくの
『莫大な遺産があるんですってね。まぁ私は興味ないですけど』
嘘吐き……嘘吐き嘘吐き嘘吐き、うう・・・
そうしていたら僕は一人になった。
お父さんと呼ばれた男は結婚詐欺だった。でも僕は分かっていた。
僕は前にお父さんは嘘をついているよと。お母さんなんか愛してないよって教えた。
ぶたれた、何でそんな事を言うのと泣きながら。
僕には分からない。なんでそんな事言うのか。本当のことなのに……
お母さんはそれが心労になったのか車の衝突事故で死んでしまった。
引き取り手が多数会った。でも皆金目当てだった。
引き取り手なんて要らなかった。でも子供一人が駄々こねても何もならなかった。
だから仕方なく金目当てじゃない人を自分で探した。必死にお願いした。泣いた。
そうしてその人に引き取ってもらう事をお願いしたんだ。
───あれから10年の月日が流れた。
彼は学校に通っている。
嘘で塗れて溢れている世界の中に。


第一節『殺人事件』

彼、白河 灯は毎日が苦痛で堪らなった。
嘘を見るのも嫌だし嘘を付かれるのも嫌だ。
でも一番苦痛なのは嘘と分かっていながら“嘘とわからないように振舞う”事だ。
そんな苦痛な日々がやっと終わると思っていた、夏休み直前のある日の事だった。
授業終了のベルが鳴る。
「はい、今日の授業はここまで。明日は終業式だから遅刻しないようにな。
夏休みだからといって羽目を外しすぎない事。あと日直は黒板をちゃんと消しておく事。
では委員長、号令を」
くたびれた茶色のスーツを着て連絡事項を読み上げる僕の担任。
その姿ももはや見慣れたものとなっていた。
それも今日でしばらく見納めだろうな。
「起立、礼」
「「「ありがとうございました」」」
全員が挨拶をすると担任は教室から出て行く。
それと同時に一気に教室が騒がしくなる。
聞こえてくるのは夏休みの事に関する雑談。
机に座って話したり、中にはそのまま帰る人もいた。
こうして退屈な最後の授業が終わった。
僕は別段やることもなく、授業終了と共に帰るつもりだったので
既に帰り支度済みのカバンを持って席を立ち上がる。
もう夕刻とはいえ、夏の昼は長い。
窓の外は未だ太陽の光が猛威を振るっていた。
当然、その所為で暑くなるわけで、僕は汗を吸って肌にへばり付くシャツの
不快感を押し殺して家に帰ろうとした。
「おい、待てよ灯!」
っと呼び止める声がした。
僕は声のした方に振り向く。
「何?さっさと家に帰りたいんだけど」
「まぁ待てって。ったく、早く帰って何するんだよ?」
「寝る」
キッパリと言い切る。
「っで、何の用、阿久津(あくつ)」
「ん?ああ、見に行くんだよ」
「主語を言えよ主語を。何を見に行くんだよ」
「殺人事件」
「行かない。んじゃ話はそれだけだな」
そういって帰ろうとする灯の肩を掴む阿久津。
「一緒に行こうぜ」
……無駄だとは思っていたがやはりか。
はぁっとため息を吐いてしまう。
「……行ってどうするんだよ」
「決まってる。行ってから決めるんだ」
「神代(かみしろ)でも誘えばいいじゃないか」
「神代はもう帰っちまったよ」
逃げたなと推理する。
神代はそういう危険回避の勘は鋭い事は長年付き合っているので分かっている。
つまり、神代が逃げるって事は自動的にこれが危険なことって事が
分かるのも分かるのが悲しいが。
「拒否権は?」
「当然」
「無しか……。わかった、行けばいいんだろ」
捕まった以上逃げられた試しがない。
ならさっさと行って帰って寝ようと、そう考えていたのかもしれない。
ただ、僕はちょっと心が躍っていたと思う。
興味はあったのだ。

「殺人事件って言うとあの女性の?」
「そうそう、それだよ」
その事件の現場に向かう最中の会話。当然話題は事件の話だ。
「ま、殺人って言ったらこの辺じゃこれぐらいしかないし」
『女性連続殺人事件』
この辺では有名な事件だ。
年齢、職業、住所、出身すべて共通点無し。
ただ被害者が女性だけと言う殺人事件。
ここ最近起きていて、被害者は10人を越える。
だが、未だに容疑者が絞れ込めず今だその殺人鬼は街を闊歩している。
簡単に言うならこんな事件だ。
「今日、11人目の被害者が出たんだ」
「今日?あれ、確か昨日も確か……」
そういえば、僕の記憶が正しいなら昨日10人目の被害者が出たはずだ。
「ああ、灯の言うとおり昨日も出た。連日だよ」
「連日か、ずいぶん物騒になってきたな」
昨日今日とくれば明日もと思ってしまう。
だからだろう、まだ明るいと言うのに道にほとんど女性の姿は見えない。
もっとも、この状態で出歩く僕達もどうかと思うが。
「っで、お前は何で見に行くんだ?」
「ちょっとね、事件を解明したいなって思って」
「言う事は立派だがとんでもなく無謀じゃ?」
「えーそうかなぁ?なんとかなるって」
「なんとかなったら警察はいらないんじゃ……」
ったく、何しに行くかと思えば……。
本当呆れる、まさか本気で解明するつもりなんてな。
「素人が何を解明するって言うんだ」
「当然犯人に決まってるだろ?」
「やれやれ……で、その現場とやらはまだか?」
「もう少し先、ほら、あの雑木林だよ」
そして、僕達は雑木林に付いた。
まだ明るいのに林の中は木々の陰が重なり合って薄暗かった。
その分涼しいのがせめてもの救いかな。
そしてその林の中に見える黄色いテープ。
それにはKEEP OUTと書かれていた。
「立ち入り禁止だそうだが?」
「無論乗り越えるまで」
そういってテープを跨ごうとするを僕は阿久津を止める。
「おい、止めとけよ。警察が見てる」
俺の視線の先には警官が走ってこっちにきていた。
残念ながら止めるのが少し遅かったようだ。
「おい!君!立ち入り禁止のテープが見えないのか!」
「お勤めご苦労、中を拝見しますよ」
「コラコラ!何をやってるんだ!」
警官が入ろうとした阿久津を止める。
「ほらほら、警察が困ってるだろう。止めろよ……ったく、おい!」
仕方ないな、僕は首根っこをつっかみ無理矢理下がらせる。
バタバタと暴れる阿久津。
「痛たた……ったく、乱暴だな」
「これぐらいしないとお前は止まらんだろ」
僕は手をパッと放す。
「さて、どうやら素人はここまで見たいだな。
さ、帰ろうぜ」
「まぁ待てって。こういうときのためにお前がいるんだろ」
「お前……まさか」
「おい貴様!白河って名前を知ってるだろ!」
警察に向かって貴様とは中々度胸あるなぁ……。
「何だ?白河……!って」
「そうだ!貴様らの上司、白河 真二(しらかわ しんじ)!
この方はそのご子息なるぞ!」
「な……白河 真二警視のご子息!?」
「おいおい・・・勝手に名前を使うなよ」
しかしまったく話を聞かない阿久津。
「見よ!これが証拠だ!」
と、何時の間に盗ったのか人の生徒手帳を見せる。
そこには保護者の欄に白河 真二と書かれている。
ちなみに真二とは父親の事だ。
警察庁警視でこの辺りじゃかなり名が知れていて、大抵の警察はこの名前を出せば
協力的になる。
……それで連れてきたわけか。

4月29日修正
Copyright © 2005 楓と蒼. all rights reserved.

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。